撮影には関係の無い日記を書きます
この日は渋谷の風俗店オーナーと、風俗専門のカメラマンが手伝いにきてくれた。もちろん僕と面識無し。飛び込みでボランティアに来たのだという。僕と一緒に3人1組で行動となる
前日のヌマッチの活躍もあって電柱に絡み付いてたロープを撤去して漁協がきれいになって波止場もある程度片付いた。「そろそろ俺たちもやるか」と言って、この日は朝から漁師さんがいっぱい出てきてくれた。震災後2ヶ月以上経ってやっとです。お持たせして悪かった…
元サッカー日本代表が近くで炊き出しをするというのでテレビ制作会社が何度もロケハンに来る。新聞社も。漁師さんは当然相手にしない。被害総額は相当なものだし気が立ってる。
僕が乗ってた重機は財団がお金出して「漁業支援」用に重機を借りてくれてます。漁協から依頼されて漁港や漁協はきれいにしてるけど個人の船や道具を引き上げるのに使っていいかどうかの判断は微妙なところ。個人を支援すると不公平も生まれるし、もめ事のタネにもなる。漁協の委員長も難しい立場。
「俺しばらく用事で戻らないから」と委員長が漁港を去った途端、漁師さんが一斉に寄ってきた
養殖用のポンプを引き上げてほしいとは初日から言われてた。委員長が居なくなってサルベージ船が来てしまってるし、今しか無い…
困ってる人を助ける、それだけを考えて。という2回りも年下の子に前日言われた言葉を胸に重機を海に突っ込んだ。完全に自己判断。正解かどうかは未だにわからない
ロープが絡まりめちゃくちゃ難航した。漁師さんと代わる代わる海に入りながら。1台目を上げるのに1時間。上がった上がった。1台30万円。テレビ局の人に噛み付いてた人も「お兄ちゃんカメラマンなんでしょ!俺の写真撮ってくれよ!」と言ってくれる。この人のは4台全て上がった
抱き合って喜んだけど余韻に浸る暇がない。サルベージ船の作業が始まってたのだ
このパワーでポンプも仕掛けも全部持って行かれてしまう。その前に…
事情を知ったサルベージ船の監督さん「ちょっと早いけど昼にしよう」と言ってくれた。潜水士さんは昼抜きで潜ってくれた
この漁師さん3台のポンプがまだ上がらないという
なかなか上がらない。3台のうち2台はダメだった。せめて1台
サルベージ船の監督も見守る中、1台のポンプが上がった
これを合図にサルベージ船も再開。この日は暑く漁師さんの目からも汗が流れる(本人がそう言ってきかない)こちらは目から大汗。「ポンプが全部流されてたら俺は漁師辞めてた」って!それを先に聞いてたらビビって作業出来なかったところ…
「来年は無理でも再来年、牡蠣食いに来いよ!」と言って帰って行った。
風俗店オーナーの目からも大汗。
そのオーナーたち。やってくれました。
ほぼ二人で手作業でここまで。
看板も奇麗にしてくれました。「店に遊びに来てね」そう言われたけど…この人たちとは喧嘩もした。嫌な空気にもなった。でも大切な仲間だ。店に行くかはわからないけど牡鹿半島で会う約束をした。
帰りに漁協の委員長のところに報告に行く。するとポンプ上げを遠くで見守っていたそうだ。サルベージの船にも声をかけてくれたのは委員長。また目から大汗をかいてしまった。
漁師さんの大半は避難所暮らし。そして漁師さん全員のポンプは上がらなかった。約半分強の14台しか上がらなかった。それでも助け合って漁業を再開してくれるはず!絶対にここに牡蠣を食べに来たい。
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